STARMANN

いつか光を超えて、わたしを空へ連れ出して

「ジャニーズJr.」という鳥籠に物申す。

お恥ずかしい話だが、わたくしは物心つく前からジャニーズを見て育ってきた。KinKi Kidsに始まり、KAT-TUN、そしてJr.にいたるまで、この歳で既に20年間ジャニーズと付き合っているわけだが、それだけ長いこと見てくれば、数々の別れも経験する。ゴシップ画像の流出であったり、音楽の方向性の違いであったり、原因は様々だが、何度経験しても心が痛んでならないのは、本人の将来を見据えた「ジャニーズJr.」の退社である。


今年のはじめに町田さんが退社し、わたしの大好きだったMAで残っているのは、とうとう我が担当のやらくん一人となってしまった。
現在では演劇界に華麗なるカムバックを果たしステージに立ち続けている町田さんだが、退社の際は、もう芸能活動はしないつもりだとTwitterで示していた。そんな彼をステージに連れ戻したのは、事務所外で共に仕事をした俳優仲間や演出家のみなさん。町田さんのお芝居やダンスの実力は周知のとおりであり、彼がステージを降りてしまうのを惜しみ引き留めた人々の存在がそれを裏付けている。

同様に、ジャニーズ事務所を退社してもなお、別の場所でステージに立ち続ける俳優やダンサーは数多くいる。なぜ彼らは、業界最大手芸能事務所と言ってもいいジャニーズ事務所を去らなければならなかったのか。退社の理由は個々に細かい事情があるだろうし、それは本人にしかわからない。だが、ジャニーズ事務所が優秀な舞台人を失ってきた理由としてわたしなりに考えているのは、デビュー一点で決められる「ジャニーズJr.」の定義と立場の弱さである。

「ジャニーズJr.」

ジャニーズ事務所では、Jr.がデビュー組の先輩のバックダンサーとしてテレビやコンサート・舞台に出演し実力と人気(と事務所のお偉いさんのちょっとした気まぐれ)を得て、CDやDVDのリリースを以てデビューするというのが主な流れとされている。歴史がそう長くない関西ジャニーズJr.や一部「エリート」「お気に入り」とされるタレントにはバックの経験があまりないものもいるが、Jr.の多くが先輩の背中を追いかけ「デビューしたい」と目標を掲げている。
しかし、すべてのJr.が順番にデビューできるわけではないのはご存じのとおりである。デビューして東京ドームで単独コンサートをしている誰かのバックで、同じ日に入所した同期や先に入所した先輩が踊っていたりすることが普通にある。そこで「自分はデビューできない」と挫折を味わうJr.は少なくない*1


その一方で、デビューはしていなくても芸能界で活躍しているジャニーズタレントが多く現れている。イケメン俳優としてブレイクして以降、映画やドラマへの主演が立て続けの生田斗真、朝ドラでその実力が世間に認められゴールデンやバラエティーにも進出している風間俊介ジャニーズ事務所に在籍していながら独自の活動の場を広げている佐野瑞樹などがそうで、彼らは特に「俳優路線」として道を確立している。
彼らがバラエティーやトーク番組に出演すると、時折共演者にぶつけられる疑問がある。


「えっ、君ジャニーズJr.なの?ww」


苦笑しつつも「はい」と答えるより仕方がない。ジャニーズJr.の定義は「デビューしていないジャニーズ」なのであるから、CDやDVDをリリースしていない彼らももちろん「Jr.」なのである。テレビでこんなやりとりを見るたびに、わたしまで苦々しい思いをしてしまう。

わたしの一番好きな人だって、30過ぎてまだ「Jr.」だ。10代の頃は「ジャニーズシニア」なんてグループ名付けられて「は?誰がシニアだよ」なんていじけていたものだが、いよいよもってシニア…とまではいかないにしても、まだ「Jr.」だ。

以前少年倶楽部プレミアムに出演した際、やらくん自身はそんな自分の状況を「まだスタート地点にも立っていない」と表現した。30代を目前とした当時の彼にとっても、デビューこそが第一の関門だったのだ。そんな彼も、主演舞台や振り付け・演出の仕事を続けていく中で、ジャニーズの中でも唯一無二ともいえるポジションを確立しつつある。そのうちに次第に考えが変わり、後に再度出演した際には「デビューがすべてではない」「自分にしか作れない道を拓いていきたい」と腹をくくった姿を示してくれたのだが。

とはいえ、事務所の特性ゆえに活動の幅が限られていることも事実だ。
…この事務所にいなければ、やらくんはもっと活躍できるんじゃないかと思ったことはある。ここにいては、やらくんは自由に飛び回ることはできないんじゃないか。鳥籠の中の鳥のように、本来の力を出し切れず閉じ込められたままなのではないか。

散々考えたが、それでもやらくんにはここにいてほしい。ここにいて、「ジャニーズだから」という制約を取っ払って活躍してほしい。

ジャニーズだからなんだ。「Jr.」だからなんだ。そんな鳥籠はぶっ壊してしまえばいい。
やらくん自身のためにも、これ以上、自分の空に限界を感じる後輩が出ないためにも。


やらくんの話になるとつい長くなってしまうが、この辺で端折る。
他にこの壁にぶつかりそうなふぉ~ゆ~も、ここが踏ん張りどころだろう。培ってきた実力を持って、主演舞台やテレビ・ラジオ番組のレギュラー出演とすでに活躍の場が広がってきているからには、ここで安易にデビューで終わらず、より生ものを見せるパフォーマンスグループとしての市民権を事務所内外かかわらず確立していってほしい。


要は、「ジャニーズJr.」を「デビューしていないジャニーズタレント」と定義してしまうから、限界が出てくるのだ。「ジャニーズJr.」と名の付く彼らだが、その活躍はもはや「Jr.」の域にとどまってはいないのだから。

物言わず去る「Jr.」

「Jr.」の立場の弱さは事務所を去る際に如実に表れてしまう。たとえ円満退社であったとしても、本人の言葉はもちろん、退社する旨が事務所から発表されることはない*2。町田さんが退社前最後のweb連載に退社をにおわせるメッセージを残したことは記憶に新しいが、彼ほどの実績を残していてwebに連載を持っていても退社の意志を正式に発表することができない*3。「Jr.」だから。
同様にデビューしていなくても、例えば万が一生田斗真が退社するなんてことになれば、さすがに正式な発表はなされるだろうが。要は一般知名度の問題なのかもしれない。数百人にも及ぶジャニーズJr.の退社情報をいちいち流すなんて、骨の折れることかもしれない。だが、いかに一般知名度が低くても、青春をささげてジャニーズ事務所で活動したタレントの進退問題を、応援してくれるファンに知らせずに闇に葬るというやり方で、誰かが辞めるたびにJr.担が傷ついているのは間違いないのだ。



デビューがすべてという時代は終わった。
すべては、多様化するタレントの活躍のフィールドに対応しきれていない、ジャニーズ事務所の古い体制に起因するのではないだろうか。
もし、先述の「ジャニーズJr.」の開拓者たちがより活躍することで、一般認知度や事務所内での存在感を高めることができれば…デビュー以外に「ジャニーズJr.」の名前を取っ払う枠組みと方法、体制ができれば…すべてのJr.が未来を自由に選択することができ、ジャニーズ事務所がより広いフィールドでの活躍に対応できるマルチ芸能事務所になってくれることを願う。






池田優くん。
ここは、あなたには少し狭すぎたのかもしれません。どうか、あなたが自分らしくのびのびと羽ばたける空が、旅立つあなたを迎えてくれますように。
ありがとう。



追記
下記の記事にて言及していただきました。Jr.を応援する方々には少々きつい内容となってしまった本記事ですが、「だからこそJr.担は楽しい」というご意見にわたしとしても大いに同意します。
rocktheworld.hatenablog.jp

*1:「芝居ができて、男性が活躍している事務所といえば!」と、そもそもデビューなど眼中になく、俳優としてのし上がるルートとして入所してくる高田翔のような強者もいるが。

*2:米花くんの場合はメディアで報道されたが、事務所からの正式な発表であったかはグレー。

*3:最近では、所属中は公に利用することのできない(ことに表向きではなっている)Twitter等のSNSに登場し、退社を事後報告するというスタイルが流行しているが。